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Vol.3:競技力向上のためのウエイトトレーニング_その3

競技力向上を目的とするウエイトトレーニングは、「スクワット」「ベンチプレス」「デッドリフト」の3つのエクササイズが基本となることは前回までにコメントさせて頂いた通りである。

そして、これらの3つのエクササイズを行なう上で重要なポイントになるのが(もちろん、これ以外のエクササイズについても該当するが)、以下のポイントである。

@足裏全体をしっかりサーフェイスに接地させる。
A足裏全体でしっかりと加重する。
Bつま先、足幅、膝の向き、肩の高さ、等、スタートポジションにおける正しいスタティックアライメントを確保する。
Cバー(シャフト)をしっかり握る。
D正しいダイナミックアライメントを確保する。
E体幹部を安定させる(腹圧を高める)。
F体軸を意識し正体で行なう。
G動作スピードをコントロールする。
H反動や惰性を使わない。
I関節可動域全域を使う。

以上が競技力向上を目的に行なうベーシックウエイトトレーニング(スクワット,デッドリフト,ベンチプレス)のポイントであるが、それぞれについて、以下に簡単に説明していく。

まず、競技力向上を目的に行なうウエイトトレーニングで最も重視すべき要素は、筋出力を高めることであり、そのためには、全身の連鎖性等を意識した動作を行なう必要性がある。

そのためには、足裏全体をサーフェイス(床)にしっかりと接地し、足裏全体で加重しながらエクササイズ動作を行なうことが重要になる。これは、立位で行なうスクワットやデッドリフトは当たり前の話となるが、仰臥位となるベンチプレスでも全く同様なのである。

ベンチプレスの方法として、より大胸筋に多くの刺激を与えることや、腰椎に対する負荷を軽減させることなどを目的に脚を挙上した状態で行なう方法をみかけるが、競技力向上という側面から捉えるならば、このような方法でのベンチプレスは全身を使ったエクササイズであるとはいい切れないことから、避けた方が良いといえるだろう。

繰り返しになるが、競技力向上を目的に行なうウエイトトレーニングは、それが例え上半身のエクササイズであったとしても、下半身の力をも連動させることを意識すべきであるのだ。

また、連動性という側面から、バーをしっかり握ることも重要なポイントになる。

特に、ラケットやバットを握る等、指先まで力の連動を必要とする競技における競技パフォーマンスを向上させるためには、バーをしっかりと握り指先まで集中しながらエクササイズを行なう必要があるといえよう。

そして、何よりバーをしっかり握ることで、バーを落とすことによって生じるウエイトトレーニング中の傷害予防につながる。

そして、動作を行なう上では、正しいアライメントをしっかり確保する必要性がある。
これは、静的なアライメント、動的なアライメントも同様となるが、やはり、最も注意すべきは動的アライメントということになる。
動的なアライメントの乱れは、傷害・障害のリスクになるばかりか、力の連動性をも妨げることになるため注意しなければならない。

正しい動的アライメントをしっかり確保するためには、何よりもスタートポジションにおける正しいスタティックアライメントを確保する必要性があるといえる。
スタートポジションで正しいアライメントが確保出来ていないと、その後の動作におけるアライメント(動的アライメント)が乱れやすくなるため、まずはスタートポジションにおける正しいスタティックアライメントを確保しなければならないという訳だ。

また、正しい動的アライメントを確保する上では腹圧を高め、体幹部を固定することを意識しなければならない。もちろん、傷害予防という点においても重要な要素であることはいうまでもない。

そして、体軸と呼ばれる骨盤-脊柱-後頭骨のラインを真直ぐに保ち、正体を保ってエクササイズを行なうことを意識することも重要となる。体軸の乱れは適正な筋出力を妨げることになり競技パフォーマンスを低下させる要因になりかねないため、常に体軸をしっかりとキープしながらトレーニングを行なう必要があるという訳だ。

基本的にスクワット、デッドリフト、ベンチプレスは、ともに体軸を中心に左右が対称になるエクササイズであるため、肩のラインやバーの挙上が左右対称になるように意識することが重要となる。そのためには鏡の前でトレーニングを行なう必要性があるだろう。

そして、反動や惰性を使わないように意識しながら、関節可動域全域で動作をしっかりコントロールしなければならない。
近年、ウエイトトレーニング中、特にフリーウエイトによるウエイトトレーニング中における傷害が問題視されており、場合によってはフリーウエイトを用いたウエイトトレーニングは競技力向上のためには不適切であるというような声も耳にするが、フリーウエイトを用いたウエイトトレーニング中の傷害は、上述した様々なポイントをしっかりと守れていないことに起因するものが多く、また、反動を使った動作やスピードのコントロールが出来ていないことに起因するものが多い。

反動を使った動作は、筋や結合組織に過度なストレスを与える可能性が高く、傷害のリスクも増えることになる。

また、動作スピードのコントロールをしっかりと行なうことで、関節可動域全域によるエクササイズも可能となる訳だ。
近年、ウエイトトレーニング中の傷害の予防という側面から、関節可動域を制限したエクササイズ指導(例えば、野球やバレーボール等肩を酷使する競技者におけるベンチプレスは、肘の角度が90度まで・・・等)が行なわれているケースをみかけるが、反動を使わず動作スピードがしっかりコントロール出来ていれば、関節可動域全域にわたる動作でも傷害を引き起こす可能性は少ない。

そして何より、競技力を向上させるためには、関節可動域全域で適正な筋出力が出来なければならないといえ、また、動的な柔軟性を高める上でも関節可動域全域でのトレーニングが必要となる。

また、いわゆるスティッキングポイントを超えてからの動作にも注意を図り、惰性で動かさないように注意することも重要な要素となる。
ウエイトトレーニングのエクササイズ全てにおいて共通することは、必ずスティッキングポイントがあるということである(一部のトレーニングマシンでは、このスティッキングポイントをなくすように工夫をされているものもあるが・・・)。
スティッキングポイントを超えると、エクササイズ自体は非常に楽なものとなり、惰性で動かしやすくなるのだが、ここでも常に力を伝えることを意識することによって最大限に身体に刺激を与えることが可能となり、筋出力を高めることが出来るのである。

このような点を踏まえて、ウエイトトレーニングに取り組んで頂きたいのであるが、ここで紹介したのはあくまでも競技力向上のためのベーシックなウエイトトレーニングにおけるポイントである。

以前もお伝えしたと思うが、万能のトレーニングというものはない。 基礎的なトレーニングをしっかりと行ないつつ、それぞれの競技に合わせて特異的なスピードや特異的な動作による特異的なトレーニングを平行して行なっていかなければならないのである。

従って、競技力を向上させるためにはベーシックなウエイトトレーニングだけでは不十分であるといえるのだが、多くのアスリートにおいてはこのようなベーシックなウエイトトレーニングすら実施出来ていない状況にあるといえるので、このベーシックなウエイトトレーニングをトレーニングプログラムに取り入れるだけでも十分な競技力向上が望めるといっても過言ではないだろう。


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