Vol.2:競技力向上のためのウエイトトレーニング_その2
前回は競技力を向上させるためには、まず、ベーシックなウエイトトレーニングを行なうことが重要であると述べた。
もちろん、競技特異的なウエイトトレーニングの方が、競技力向上には重要な要素となるが、十分な筋力レベルに達していない人が、競技特異的なウエイトトレーニングを行なっても、効果が上がらないばかりか、場合によっては、傷害・障害を引き起こす可能性もあるのだ。
そのような意味を含めて、まずは何より、ベーシックなウエイトトレーニングを重視して頂きたいということだ。
但し、競技力向上という視点に立つならば(厳密にいえばあらゆる視点において)、ただ闇雲にベーシックなウエイトトレーニングに取り組めば良いという訳ではない。
そこで、今回は競技力向上のためのベーシックウエイトトレーニングについて考察してみたい。
まず、競技力を向上させるために重要な要素となるのは、筋出力を高めることに他ならない。従って、競技力向上のために行なう(ベーシック)ウエイトトレーニングの目的は、筋肉を肥大させることではなく、筋出力を高めるということになる訳だ。
では、筋出力を高めるということは、どういうことなのか?
ここで、ポイントになるのが、運動の連鎖性ということになる。
私たちの身体が動く時には、全身の筋肉が連鎖して働くといっても過言ではない。
例えば、上半身を動かす時にも、下半身で産み出された力が伝達されているのである。
代表的なウエイトトレーニングともいえるアームカール(バイセプスカール)は、上半身、しかも上腕二頭筋が主として働く動作であるが、立位でアームカールを行なう場合、上腕二頭筋に先行して、下腿三頭筋の収縮がみられるのである。
すなわち、下腿部で産み出された力が、体幹部を経て、上腕二頭筋の収縮によって起こる肘関節の屈曲動作に関与しているのだ。
つまり、上腕二頭筋の単なる筋肥大を目的としたウエイトトレーニングならば、如何に上腕二頭筋に多くの刺激を与えるかがポイントになる訳だが、上腕二頭筋の筋出力を高めることを目的としたウエイトトレーニングの場合は、全身の筋肉が産み出す力を肘屈曲動作に結びつけることにポイントをおかなければならないということになる。
スポーツの動作というものは、全身の筋肉の連鎖で成り立っているといっても過言ではなく、このような連鎖性を意識しながら、ある筋肉の収縮力を高めていかなければならない、いい換えれば筋出力を高めていかなければならないのである。つまり、競技力を向上させるためには、全身の連鎖性を意識したウエイトトレーニングを行なう必要性がある訳だ。
そのような点で考えれば、競技力を向上させるために行なうベーシックウエイトトレーニングは、マシンよりもフリーウエイト、単関節よりも多関節、なるべく立位で(もちろん様々なポジションを考慮しながら)、というポイントが見えてくる。
そして、行き着く先は、ありきたりではあるが「スクワット」「ベンチプレス」「デッドリフト」というビックスリーともいわれるエクササイズになる訳だ。