Vol.4:柔軟性とは_3
関節痛の原因は様々であり一概にはいえないが、筋肉の短縮、すなわち柔軟性の低下は時として関節の痛みを生じさせることがある。
例えば、肩関節の周りには大小様々な筋肉が存在するが、肩の外側にある筋肉の過度な短縮は、いわゆる「四十肩・五十肩」の原因になるといわれている。
肩関節は非常に不安定な関節であり「インナーマッスル」と呼ばれる身体の奥で肩関節を支える(上腕骨を支える)筋肉の働きが重要になる。つまり、インナーマッスルがスムースに動くことが出来なければ肩(上腕)を充分に動かすことは出来ないのである。
肩の外側にある筋肉が過度に短縮することでインナーマッスルが動く隙間がなくなり肩を動かす事が出来なくなったり、痛みが出てきたりすることがあるのだ。
また、肩関節は鎖骨と上腕骨と肩甲骨で形成される関節であるため、肩や胸、背中の筋肉が短縮することで肩こりを引き起こすことが考えられる。
また、これらの筋肉が短縮することで肩関節の動きが悪くなると、腕を頭上に挙げる動作を行う時に肩の動きを補うために上半身を反らすような代償動作が起こり腰に負担をかけることになり腰痛を引き起こす可能性がある。
また、太ももの前側の筋肉は骨盤から膝関節をまたいで脛骨に付着しているため、太ももの前側の筋肉が短縮することによって脛の骨が前方に引っ張られる状態となり、大腿骨と脛骨で形成される膝(関節)に痛みが出ることがある。
このように筋肉の短縮は関節痛の原因の一つであるという訳だ。
ところで、筋力とは、ある筋肉が発揮できる力を表わし、柔軟性とは関節の可動範囲を表わしていると考えることが出来るが、筋力と柔軟性は非常に密接な関係にあり、どちらが劣っていても、どちらが極端に優れすぎていても身体の状態が良いとはいえないのだ。
例えば、いわゆる「女の子座り」が難なく出来る状態は、股関節の柔軟性が高い状態であると思われるかもしれないが、このような状態では膝にストレスがかかりやすく膝のトラブルを引き起こす原因になりかねない。
解剖学的に見た場合、それぞれの関節には理想的な関節可動域というものが存在し、その関節可動域よりも可動範囲が広すぎても狭すぎても身体のトラブルを引き起こす原因になってしまうだ。
例えば、仰向けに寝た状態での股関節屈曲の可動範囲は90度以上とされており、90度に満たない場合は太ももの裏側やお尻の筋肉が短縮している状態が予想され、このような状態では腰痛を引き起こす可能性が高いといわれている。
一方で、股関節屈曲の可動範囲が90度以上ある場合においては、その関節可動域に負けない太ももの裏側の筋肉やお尻の筋肉の筋力が必要になる。
つまり、解剖学的に見た正常関節可動域以上の柔軟性を有する場合は、関節が不安定になることがあるためその関節を筋肉によって守ることが重要になる訳だ。
正常な関節にはいわゆる適度な「遊び」があり、静的な安定性と動的な可動性を兼ね備えた機能を可能としている。
ところが、この「遊び」の部分が過剰になり「ゆるみ」になってしまうと関節の安定性が損なわれることになり関節にトラブルを引き起こしやすくなるだ。
従って、関節の可動域は広いにこしたことはない訳だが、関節の安定性を高めるためにしっかりと筋力を強化しておく必要もあるということになる。
これらのことから身体の状態を良好に保つためには、筋力と柔軟性(関節可動域)の双方を高めていく必要があるといえるのだ。