Vol.2:柔軟性とは
一般的に体力測定等では、体力レベルを評価する指標として筋力や持久力と共に柔軟性の評価を行っている。
柔軟性とは簡単にいえば「身体の柔らかさ」として考えることが出来るが、筋肉の質的な柔らかさを表わしたものなのか、筋肉の伸び縮みのしやすさを表わしたものなのか、関節の動きの円滑さを表わしたものなのか、曖昧な部分が多いといえよう。
教科書的には、「関節の可動域」によって柔軟性を評価することが一般的であるので柔軟性とはすなわち「関節可動域」として捉えることが出来るといえるだろう。
関節可動域とは、ある関節の持つ生理的な可動範囲のことを指す訳だが、関節が何の障害も無しに、その生理的な可動範囲内で円滑な運動を行うためには、
1)関節の構築学的な障害がないこと
2)関節運動を行う主動筋の筋力が充分にあること
3)主動筋の働きに拮抗する筋肉が充分な伸張性を持っていること
の3つの要因が必要であるといわれている。
つまり、柔軟性は、骨や関節包、靭帯など関節を構成する組織、関節の周りの組織(例えば脂肪や皮膚等)、関節の動きに関係する筋肉の影響を受けるということになるのだ。
例えば、ケガによって関節を構成する組織にトラブルが生じることでも柔軟性は低下し、加齢に伴い関節を支える筋肉の筋力が低下することで関節を構成する組織にトラブルが生じることでも柔軟性は低下する。
また、運動不足によって筋力が低下したり、同じ動作や同じ姿勢を繰り返すことで(常に筋肉に力が入っている状態となり)筋肉の伸張性が低下することでも、柔軟性は低下するのである。
そして、意外だと思われるかもしれないが、肥満や筋肉の過剰な肥大も身体の固さ、すなわち柔軟性の低下を引き起こす。つまり、余分な脂肪や過剰に肥大した筋肉が邪魔となり関節の可動範囲が狭くなってしまうこともあるのだ。
また、主動筋と拮抗筋の筋力発揮のバランスが悪くても柔軟性は低下する。
主動筋とは、ある関節を動かす時に主として働く筋肉のことであり、拮抗筋とは主動筋の反対側にあり主動筋と反対の働きをする筋肉のことである。
例えば、肘を曲げる時の主動筋は上腕の前側にある「上腕二頭筋」と呼ばれる筋肉であり、拮抗筋は上腕の裏側にある「上腕三頭筋」と呼ばれる筋肉になる。
一方で、肘を伸ばす際の主動筋は上腕三頭筋となり、拮抗筋は上腕二頭筋になる。
このように全ての筋肉は主動筋にも拮抗筋にもなりうる訳だが、(例えば)肘を曲げる時には、主動筋である上腕二頭筋がしっかりと筋力を発揮しなければならないし、拮抗筋である上腕三頭筋が充分に伸張しなければならない。この時、上腕三頭筋に力が入った状態(筋力が発揮されている状態)ではスムースに肘を曲げることは出来ないのである。
筋力発揮は神経を通じて脳からの命令によって行われているのだが、筋力発揮のコントロールがスムースに行えない人も多く、特に幼少期に身体が固いといわれている子供たちの多くはこのような筋力発揮のコントロールが上手く出来ていない場合が多いといえるだろう。